劇団おひさま冒険団

おひさま冒険団(おひさまぼうけんだん・OHISAMABOUKENDAN)は、香取大介(四泉芙燈)が立ち上げ、現在はたまゆり笑が二代目の代表を担う、日本の劇団。2013年活動開始。おひさま冒険団の活動(地域活動、地元とのコラボ)の前身として、なかのエンジョイ♪えんた~て~めんと・Empathy Experienceがある。東京都中野区を拠点に活動している。基本的に香取が各公演の劇作・演出を手がける。主なメンバーにたまゆり笑五十嵐育也津村悠介関谷百笑赤橙白黄綾羽陽子、清瀬水鈴、杜寺部白明(休団)、中村梨紗(仮入団)、菅谷翔太など(詳しくは下記)。

 

目次

1 概要

2 製作・マネージメント態勢

3 作風

 3.1  時代物

   ・東洋

   ・西洋

3.2 現代物

 3.3 朗読劇

4 在籍メンバー

5 以前在籍していた主な俳優

6 過去の公演 

 6.1 本公演

 6.2 番外公演

 6.3 朗読劇

 6.4 おひさまプロデュース

7 出演番組・雑誌

8 参加ボランティア・イベント

9 外部リンク

 

 

1 概要

2013年11月、香取大介が伊藤紗代を西武新宿駅近くの喫茶店「ルノアール」に呼び出し、新しい劇団を作ることを提案する。劇団のコンセプトを伝えた所、当初伊藤は反対するが、香取が自分一人でもやると言い切ったため伊藤も賛同。その後、劇団の名前を決めた。年末に、香取が経営するプロダクションルートエフの中から選抜メンバーとして劇団立ち上げメンバーをチョイスする演劇論座学及びワークショップを開き、6名を確定する。旗揚げメンバーは、伊藤紗代・田原翼・北口壘年(るねお)・愛河美帆・吉良竜矢・大庭ゆりえ(後のたまゆり笑)の6名と、代表の香取大介となる。

・当初は「おひさまKAN道教室」なる、参加型ワークショップを開き新規メンバーを募っていた。ここで矢野瑞季などがメンバーに加わる。

・代表の香取が、株式会社EMOTIONという芸能事務所の初心者クラスの演技講師を担当していた。後にそこでのレッスンに感銘を受けた者たちがおひさま冒険団に加入希望し入団している。そのメンバーに田原翼・立花聡一朗・五十嵐育也(五十嵐は吉良が担当講師)・関谷百笑・綾羽陽子などがいる

・所属俳優を主要な役柄にあてるとともに、あて書きをすることで、俳優たちをより輝かせる手法をとっている。年1、2本ほど公演を行っている。

・劇団名は「おひさま冒険団」という。香取と伊藤の出身が共に千葉県で、香取が東京に移住する前の最寄り駅が千葉駅、伊藤が幕張本郷駅、そして今の拠点が中野駅総武線各駅停車の路線であることで黄色をイメージしようということになった。誰もが挑戦しなかったことをやると決めていることから、「冒険団」というフレーズは使うということが先に決まったが、他のネーミングが決まらず、少年のような冒険とは?という話から「虫取り」が連想され、「虫取りといえば、麦わら帽子だ!」というところから、「むぎわら冒険団」という名前が挙がる。冷静に考えると、どう考えても人気漫画『ONE PIECE』のパクリのように見えるため脚下される。その後、中野には「サンプラザ」や「サンモール商店街」が北口にあるため、「サン」から太陽を連想し、「おひさま冒険団」という名前に決まる。総武線の黄色のイメージにもピッタリなので二人の間で文句が出なかった。

・本公演は、中野駅南口にある、「スタジオあくとれ」にて上演している。中野を拠点と言いながらも、代表の香取が「なかのエンジョイ♪えんた~て~めんと」を共同で企画していた武田直樹氏を守るため、一人で全責任を背負うことを決めた影響で、「ポケットスクエア」での上演が出来なくなり、何度か使わせていただいていた「スタジオあくとれ」の小屋主に相談を持ち掛けたところ快く使わせてもらえることになった。このことから、おひさま冒険団の本公演はすべて「スタジオあくとれ」で行うことに決め、中野区内では原則として他の劇場での上演をする予定はない。

・2017年の11月ごろ、メンバー内で内部工作などが発覚し(自分自身を守るため嘘をつき、劇団内の混乱を招く事件など)、その年の12月の「つながる中野」の忘年会にて解散発表公演(ダンス披露・朗読会)をした。会場はナカノバ食堂。その後、劇団員を継続したい者のみが残り現在に至る

・2021年は新型コロナ(COVID-19)の感染拡大予防に伴い、緊急事態宣言まん延防止等重点措置に伴い、感染予防対策をとった公演で、本公演形式ではなく、3つのユニットのショートストーリーの舞台を上演(日本むかし話公演)した。

・2015年2月の旗揚げ公演「彩誘記」から現在に至るまで、本公演の作・演出は香取(四泉芙燈)が担当している。

 

 

 

2 製作・マネジメント態勢

・おひさま冒険団の公演企画・製作会社として、香取が代表を務める「株式会社ルートエフ(プロダクションルートエフ)」がある。ルートエフはたびたびおひさま冒険団以外のプロデュースも行っている。おひさま冒険団名義の公演のほか、おひさまメンバーや香取の教え子たちが企画する舞台や、イベントも行っている。〈天道虫/たまごとミルク/おりぃ部/Mちゃん、など〉

・メンバーのマネジメント業務も基本的にルートエフが兼ねており、香取自らが会社経営代表なので、マネジメントも隅々まで目が行き届いている。おひさま冒険団のメンバーでルートエフ所属ではない者も多く、メンバーのマネジメント事務所はまちまちであったり、フリーであったりする。基本的にフリーの俳優たちは何かの時はおひさま冒険団もしくはルートエフが面倒を見ることになっている。

・おひさま冒険団の公演は、舞台セットが無い。当初はいわゆる舞台セットを組んで旗揚げ公演から舞台を製作していく予定だったが、思いの外予算が立てられず、キャストもそろわなかったため、苦肉の策として、一人で何役も演じ、役者がセットや風景、世界観を表現する手法が取られた。それが旗揚げ公演『彩誘記』だったため、おひさま冒険団の舞台はそれ以降同じスタイルをとっている。

・着物については、香取の母が日本舞踊をやっている都合上、実家に沢山あるのでそれを使用することが多い。本物を使用するため、評判が良い。

・劇団立ち上げ当初、月に一回劇団員で集まって食事会を開くという通称「吉良会」なるものを開いていた。始まった理由は、まず一つは、おひさま冒険団は稽古後に飲む習慣もなく(本番の打ち上げも終電で必ず帰る)、コミュニケーションを稽古場以外でとる機会が無かったこと。好き嫌いの多いメンバーが多すぎたこと(特に野菜嫌いの物が多く、愛河は野菜のことを「クサ」と言っていた)、生まれ育った家庭環境で、食卓を囲んだ経験が少ないものが多かったこと、部活動などで合宿の体験が少ないものが多かったことなど、いくつかある。香取がオフィスを開放していたときは、不定期に手作りカレーを振る舞ったり、おでんや、お鍋料理でルートエフ所属メンバーと会食する機会があったが、オフィスを閉めてから、そういった機会がまるでなかった。同じ中野に「竜兵会」を開いていた情報もあったため、香取は当初「香取会」としようと思ったが、若手の躍進のために表舞台から身を引くと決意していたので、代表とはいえ自分の名前を表に出すのは趣旨が違うと判断した。ちょうど大阪出身で鉄板料理(特に粉モノと焼き肉)が得意な吉良竜矢が在籍していたため、香取は吉良を東中野のお好み屋に呼び出し、吉良にお好み焼きを焼かせながらその旨を伝えた所、快く承諾したので、「吉良会」と名付けた。月会費一人につき500円で毎月定例で行うことが決まった。会費で食材を買い、吉良の自宅で開いていた。また、吉良を団長に据えるのにちょうどいい理由にもなり一石二鳥だと香取は考えていたと言っている。開催から3年ほど経った頃、劇団員Mが妙な噂や嘘を流したり、どうでもいい内容の話題で話の腰を折ったりと、だんだんと吉良会の趣旨からずれて来たり、吉良会の場がシラケたりするもあり、志半ばで吉良会は解散となった。ただ、野菜嫌いのメンバーが食べられるようになってきたことなど、大いに収穫はあった。食卓を囲むということが、一番の「食育」と考えていた香取は、好き嫌いがあってもよく、同じものを食べて、旨いとか不味いとか、そういった共有する思い出や体験を沢山増やしていくのが目的だったと言っている。劇団である以上、バラバラでは劇団の意味を成さず、何があっても信じあえる関係性を築くのが目的であった。その思いの油断から劇団員Mの自己中心的な振る舞いや自己防衛のためだけの嘘や噂が、ゆくゆくおひさま冒険団の人間関係をバラバラにしていくことになってしまったことを非常に悔いていた。Mの家族はとても仲が良く、家族ぐるみで観劇に来ていて、香取はじめ劇団員全員が家族ごと信頼していたので、彼女の嘘に全く気が付かなかった。信じすぎて失敗してしまった痛い経験となっている。これ以降、劇団員全員での食事会は基本的に開かれてはいない。

・吉良会と同様の目的で、何か理由を付けて有志で年に数回、車を借りて出かけることが多いのも、おひさま冒険団の特徴の一つである。基本的に日帰りで行ける場所が多く、香取の実家が木更津にあることから、衣装を取りに行く名目で、木更津に行く機会が一番多い。また、房総半島に赴くついでに、過去に訪れた場所は、久留里鋸山マザー牧場岩井海岸などがある。他にもナカノバ食堂で、ホールのお手伝いを目的に結成されたナカノバ娘たちを中心に、千葉県松戸市にある、八柱霊園にお墓参りに出かけている(2023年9月で終了)。時期は毎年春と秋のお彼岸の二回。2017年6月に当時のナカノバ食堂のシェフが急逝されたことで、命の尊さ、大切さ、またお墓参りの大事さを伝えていくのと、シェフに感謝の気持ちを伝えていくために七回忌までは毎年お彼岸に墓参りすることを決めている。毎回午前中に済ませるので、お昼は基本的に松戸市にある、ステーキいわたき野菊野店で済ます。ここは、香取が採用二年目くらいの時に、毎月東葛飾地方出張所管内の事務職員の同期と通った思い出の場所である。ちなみに香取はサラダバーでライチをやたらと食べるのが好きである。後日談として、株式会社VARIALのレッスン生に(当時香取が演技講師を務めていた)、昔、野菊野店で働いていた者がおり、いわたきの内情を教えてくれたことがある。香取のようにライチばかり食べる客のことを「ライチマン」と呼んでいたようだ。ようはあまり好かれない客という扱いの部類に属する。午後は松戸市にある、21世紀の森と広場や、柏市にある柏ヤングボウル(南柏)、野田市にある櫻木神社に行ったことがある。櫻木神社以外は香取が20代の頃よく活用していた施設である。また、一度海を見てみたいという要望があり、市川市の三番瀬が見える、市川港に行ったことがある。ここは夜になって訪れると、浦安市方面の夜景などがとてもきれいな場所でもある。また、2021年以降はご祈祷を目的に熱海市来宮神社夏至冬至の時期に通っている。

・おひさま冒険団のキャッチコピーは「わくわくをプレゼント」である。「ココではみんな普通になれる。~私が私らしくある為に~」をコンセプトに、自分たちが楽しむためにはまず街全体が、ひいては日本社会、世界中がワクワク楽しい社会でなくてはならない。そのためには平和であること。だからこそ、まず自分たちが住む街を平和にしょう!という想いから、社会貢献的事業にも積極的に参加し、大それた企画だけでなく、街の届かない声、猫の手も借りたいようなお手伝い(花壇のお手入れとか、お茶のみ友達とか)をしながら、自分たちが公演をしているところで暮らしている中野区民と積極的に関わっている。その中野区での地域活動を通して、マナーやモラル、そして様々な現場で必要とされるセルフプロデュース能力やコミュニケーション能力などを身に付けることで、一人一人を社会で活躍できる人財になろうと自助努力を続けている。また、過去に苦い経験をした人でも、挫折した人でも、夢や目標を失った人でも、個性豊かな劇団員たちに囲まれ、「ココでは普通でいられる」を信条に、仲間同士信頼関係を築きながら、演劇だけでなく、「やりたいこと」「やってみたいこと」を探し挑戦できる居場所づくりも続けている。この飽くなき挑戦の場が、自分たちのハートに火をつけ、希望をたぎらせ、勇気を湧きだたせ、自分たちからまずココロ躍りわくわくすることで、中野のみなさん、そして日本中、世界のみなさんと一緒にワクワクする大冒険をしたい。そんな壮大な目標を掲げている。合わせて、その活動の中で、芸能界にマッチングするように一人ひとりを指導、育成をしている。何より、一人の社会人として、世間そして世界に立派に羽ばたいてゆける人財へ育てていく。これがおひさま冒険団の意味合いであると歴代の代表は語っている。二代目代表のたまゆり笑曰く、「諦めない限り夢は夢で終わらない。劇団おひさま冒険団だからこそできることを、一緒に創造していきましょう。」と強く語っている。

 

 

 

3 作風 

おひさま冒険団の作品は基本的に出演する劇団員にあて書きをして構成される。使用する劇場などの場所に合わせて考えられる。また、基本的にハッピーエンドで終わるものばかりであり、可能な限り暗転効果と人が亡くなる演出を避けたいと考えている。予算の都合上、2022年現在、舞台装置が全くないにもかかわらず、観に来た観客からの感想は、「舞台が動いているようだ!」「めっちゃ感動して涙が止まらなかった!」「びっくりしていまだに興奮がおさまらない!」「金返せ!」などがある。 なお、香取が作成する台本には必ず出演者へのメッセージがト書きなどに記されている。それが好評なのか、その後の劇団員への影響を及ぼしているのかは定かではないが、余計なお世話好きな香取がせっかく出演してもらえるのだからと、演者の人生が少しでも豊かになるようにという願いを込めて記しているものである。

 

3.1  時代物

   ・東洋/ 

『彩誘記』

第一回目本公演作品。旗揚げ公演のアイディアを考えているときに、ぱっと浮かんだのが孫悟空の「分身ダンス」だった。結果として望むようなダンス振り付けには程遠かったが、分身ダンスを起点に物語を作成していった。目標人数より大幅に出演者の数が少なかったため、台本作成中に、急遽構成を考え直し、予算も組み立て直し、キャストの演技力のレベルも考慮して中身を一気に組み替えたものが決定稿となっている。とってもばかばかしい演出にしたため、評価は賛否に分かれるが、仏教論を随所に取り入れた社会派ヒューマンSFファンタジードラマとなっている。孫悟空の妖術と称し、五人の戦隊モノ「御飯戦隊!炊飯ジャー!」や、合体ロボット「機動戦士パンダム」などが登場し、「竹」がキーポイントになって物語中の難問を解決していくストーリーとなっている。昔から香取が作・演出する作品のアンケートには、「最高だった!」「時間があっという間だった!」「感動しました!」という意見から、「金返せ!」まで幅広いご意見をうけるのだが、多分に漏れず同様の旗揚げ公演となった。また、客席に泥酔した男性客が紛れ込み、暗転中に前に転げ落ちてしまい、純粋に芝居を楽しんでいた女性客の上に倒れ込むというハプニングも起きている。来客に平謝りしたという苦い事例もあった。基本的にどんなお客さまでも受け入れようというスタンスで始めたが、これ以降、泥酔客は受付にて拒むようにしている。ちなみにその客は一生涯おひさま公演出禁である(もっとも、向こうもクソ評価だったので二度と来ようとは考えないと判断している)。作品の内容は、三蔵法師率いる三妖怪(孫悟空沙悟浄猪八戒)が旅の途中で町に立ち寄り、その町が霊感大王に狙われているというところから始まる。主演はその町の娘役の宮武真優(当時高校生)。妖怪は他にも、金角銀角紅孩児など、名前が知られているキャラクターが登場している。ヒロインは矢野瑞季が演じている。

 

『真田十勇志』

第二回目本公演作品。初回が女性キャラの主役だったため、二度目は男性キャラを主人公にしようというところから考案が始まり、当時、某2.5次元ミュージカルの最終選考まで進んでいた立花聡一朗を主演にするところから企画が始まった。彼が戦国武将に大変興味があったことから、当作品が上演される頃に大河ドラマで放映予定だった「真田丸」にちなんで、「真田十勇士」をやることに決めた。作品を構成していく中で、前作が役者の身体を使った表現(セット大道具を役者が演じる)を駆使したため、二回目もそれで行こうと決めた。通常稽古のアップの最中。ストレッチをしているときに、豊川未智の腰が異様に柔らかいことに注目した香取は、徳川家康大阪城を打ち抜く砲筒を人間でやろうと考えた。となると砲弾も必要だと連想したところから、誰もキャスティングが決まっていない中で、たまゆり笑(当時大庭ゆりえ)が最初に砲弾役として決定した(当初は主演の立花を猿飛佐助にするか真田幸村にするか微妙に迷っていた)。砲弾役をやることを強引に決めた後、前々から芸名が欲しいとねだっていた大庭に対して香取が閃き、「たまゆり笑」と名付けた。ちなみに、「ゆり笑」の「笑」は、字画が10画が望ましかったことから、調べたところ一番最初にヒットした漢字が「笑」だったので、即採用した。本人は、「たま」も「笑」を使うのもひどく反対したが、その後他の10画の漢字をあてがってみたがあまりいいものがなく、しぶしぶ「たまゆり笑」を承諾した。ちなみに一連の流れは、他の劇団員もいる中移動中の電車の中で決まっている。意思が揺るがないよう、その場でSNSで芸名が決まったことを本人からシェアさせている。その成果か分からないが、その後のたまゆり笑の成長は目を見張るものがある。キャスティングは、初稿が完成し配役も決定し、初見の台本読みも終わった一週間後、急に奥山貴章が役を降りたいと言い出したため、香取以外の数名の劇団員が説得に入ったが、最後まで出演者としてかかわることを奥山は拒んだ。香取は、芝居を学びたい奥山の気持ちを察し、演出助手に据えた。奥山はこれに対して号泣している。これ以降、香取の演出助手を奥山が務めるようになる。代役は教え子でもある長谷川梨花(当時:現在広畑りか)に急遽依頼し、服部半蔵役をやってもらうことになった。おそらく本番の評価は過去一番の大好評で、全ステージほぼ満席でありながら、誰も客席で眠る人がいなかったという快挙を成し遂げた。複数回来場した観客の何名かは、幕が開いた瞬間、思い出しては大粒の涙を流し、タオルで顔をぬぐう人もいた。帰り際のお客さまからは、これが史実だと勘違いして感動して帰った人もいるほどであった。この作品のテーマは「裏切り」。なので演出方法やキャスティング、オチなど含め随所に裏切り要素を含んでいる。そもそもセオリー無視する演出家である香取は、ここでもセオリー無視をした演出をど頭に施すことで、より観客の注意を引いたのも影響が出た。その演出は場当たり稽古でどうにも解消できなかった役者の粗相を開き直って演出効果として使ったことから始まる。作品の内容は、大阪の陣を舞台に、徳川家康と服部半蔵一味VS真田幸村と猿飛佐助たち(真田十勇士)という設定で組まれている。淀殿豊臣秀頼も登場し、オープニングの二つ目のオリジナルダンスは二人で演じ、馬鹿さを演出した。そのダンスは当時流行っていたエグスプロージョンの「本能寺の変」がアイディアの元になっている。秀頼切腹のシーンでは、立派な武将として描いており、そのギャップが好評化にもつながっていたと考えている。家康の影武者も登場し、エンディングは佐助と家康の一騎打ちで佐助が勝利するという史実とは違う形で終わっている。主人公の猿飛佐助は立花聡一朗が、ヒロインはたまゆり笑が演じている。

 

『雪駄のシンデレラ』

2019年秋に上演した、一日限定公演作品。毎月定例で行われる、おひさま向上委員会にて次の作品はどんなものがいいか協議したところ、おとぎ話から何かやりたいということになり、「シンデレラ」が選ばれた。前作の「風紀委員満寿久子」の評判が良く、その敵役の「守護聖人」も人気だったため、彼の前世(先祖)を描こうということから、男女逆転、背景も日本のしかも大正時代に設定をして作られた。なので、「ガラスの靴」ではなく「雪駄」となった。オープニングダンスは、大正時代に日本にドイツ捕虜兵から伝わったとされるベートーベン第九を使うことにし、ショートストーリーの割には壮大な物語の展開となっている。また、当時中野に引っ越してきたての、香取の教え子でもあるシンガーソングライターのひがまいらのプチライブを上演前に行い、その流れで、「雪駄のシンデレラ」用に作らせた新曲を披露してもらいその楽曲が冒頭の芝居とのコラボとなりそのまま作品が展開していくという演出方法をとった。舞台は大正12年、東京浅草。母に虐げられている主人公守護零太(吉良竜矢)が、おとぎ話のシンデレラのストーリーになぞらって物語を展開させていく。ヒロインはたまゆり笑。

 

『おおかむづみ~イザナギとイザナミと黄泉の国~』

2020年春に3本立てで上演した、日本の昔ばなし公演の一作品。作・演出を香取が務める。題材は日本書紀伊邪那岐伊邪那美。伊邪那美が黄泉の国へ堕ちて行った後の物語となる。主人公のイザナギを吉良竜矢が、ヒロインのイザナミを愛河美帆が演じている。山本洋輔は初舞台となる。冒頭はイザナミの長セリフから始まるが、この演技が女性客に好評であった。舞台の表現方法はおひさま冒険団さながらにつくり上げたため、根っからのおひさま冒険団ファンには一番評判が高かった。

 

『鬼を以て鑑と為す』

2020年春に3本立てで上演した、日本の昔ばなし公演の一作品。演出を香取が務める。題材は昔話で有名な「桃太郎」。桃太郎が鬼ヶ島に旅をする途中の話を軸に物語が展開していく。ほぼ桃太郎の出番がなく、サルキジイヌ会話劇で進んでいく。桃太郎役の立花以外、おひさま冒険団のメンバーではなく、立花が組んだNo wayで出演メンバーが構成されている。3本立ての作品の中で一番エンタメ性が高く、観客が一番盛り上がった作品でもある。

 

『浦島太郎』

2020年春に3本立てで上演した、日本の昔ばなし公演の一作品。作・演出を五十嵐育也が務める。演出助手に香取が入る。日本の昔ばなしで有名な「浦島太郎」を題材に、五十嵐の蓄積した頭脳を見事に展開し、一度読んだだけでは分からない物凄い深みのある台本となっている。3本立ての作品の中で一番観客の涙を誘った作品でもある。カメ織姫が人間として登場し進行役を務めるという展開で物語が進む。主人公の浦島太郎を林隼平が演じ、ヒロインをたまゆり笑が演じた。

 

   ・西洋/ 

『夜霧のベルゲン・ベルゼン~ふたりのアンネ~』

第三回本公演作品。香取がふとした時に「アンネの日記」をやれとポンと降りてきたと言い出し、その瞬間宮武に連絡を取り本人の意思確認を取った後、「アンネの日記」を題材に構成を考え始めた。当初タイトルもそのまま『アンネの日記』で行こうとしたが、劇団民藝に所属する俳優のA先輩より、「その権利は民藝が持っているからタイトルは使えないよ」と助言をもらったのを受け、違うタイトルで行くことにする。そして、構成もアンネの日記の世界観とは全く違うものにする。この作品も、たまゆり笑のキャラクターはすぐに決まり、アンネを模した少女の友人、マルコ役で構成を考えた。ただ、最初は「母を訪ねて三千里」の登場人物であるマルコをモチーフに考え、エンディングまでイメージできたのだが、骨書きをしている時点でまるで違う作品へと変貌して行った。当初の予定は、とある収容所に別々に収監された主人公とマルコが出会い、様々な困難を乗り越え、お互いに生き別れた母親と再会しようという約束をし、主人公が年下であるマルコを身体を張って逃がすことにより、マルコは出会え、主人公はチフスで病死するという設定だった。そのアイディアが浮かんだとき、すぐさま、その内容を香取がたまに直接伝えた所、たまは号泣してしまったので、香取はたまをそのままにして立ち去ったというエピソードがある。大まかな筋は変わらないが、骨書きに取り掛かった際、勝手にアイディアが浮かんできて、いつの間にか、イタリア人という設定だったマルコが日本人の設定となり丸子となった(劇中表記はマルコのまま)。たまは10歳の設定の少女役を演じることになる。主人公はキティ(アンネを模したキャラクター)で宮武真優が演じた。本来は骨書きを全部作り終えた後台本を書いていくのだが、この作品は怒涛のように脳裏に浮かんできたため、骨書きをかきながら台本を並行して書いていくという作業になった。骨書きを書き始めるまで3週間程度必要としたが、書き始めてから初稿が上がるまで3日間で終わらせた(ちなみに初稿がそのまま決定稿となった)。ほぼ直観で書き上げた台本なので調査不足で史実的に突っ込むポイントも一つあるのだが(香取も本番中に気づいた)、誰も気が付かなかったのでそのままスルーした。この作品の舞台は、ナチスドイツ管理下にある「ベルゲン・ベルゼン強制収容所」。内容は、ヒトラー総統の命を受け、ドイツ帝国が望む千年王国建設に向けて、キメラ実験を行っているという設定で物語が展開していく。この台本の思想の根本には、キリスト教論とルドルフシュタイナー人智学神智学が流れている。なお、エンディングはマルコが未来に向かって成長していく様子を、出演者全員が全力疾走して時間軸を未来へ進めていく手法をとっている。この舞台では出演者が一度も舞台袖にはけないという演出方法をとっており、これについてまたアンケートでは賛否が分かれた。ただ、出演者には何故香取がそのような手法をとったのか、演者としてのスキルアップには非常に効果的だったというのを実感でき納得している。また、エンディングの演出は、おひさま冒険団の客層を考えて作ったため、それが的中し、おひさまファン層の心を見事にわしづかみして客出し中まで涙が止まらないという観客を多く生み出した作品でもある。泣きながら出演者に挨拶をし、家路についたお客様が何人もいた。ちなみに、一番最後はラストの曲がただ流れているだけで、約50秒間の暗転のみで余韻に浸ってもらう演出をこうじていたのだが、北口壘年が舞台袖にはけたとき、誤って舞台上の蛍光灯を付けてしまい、暗転効果を狙った演出だったはずが煌々と蛍光灯の白い光が舞台と客席を照らし続けてしまう、という事故が起こる。それ以来、中野スタジオあくとれの舞台上の蛍光灯スイッチをおひさま冒険団では「ルネオスイッチ」と呼んでいる。ちなみに、この事故の時に客席対応で客席にいた香取は、一瞬にしてかなり激高したが、自分の中で「今、こうしてキティ(アンネ)は成仏してくれたんだ」と思うことで、何とか怒りを鎮めることができた。それと同時に最後の余韻の部分で蛍光灯の灯りは消え、無事に暗転に戻って舞台は閉幕している。それもたまたま大楽での出来事であった。余談として、この作品は約半年前に上演した天道虫の『魔王 JUVENILE REMIX』の上演許可を得た際に良くしてくださった、小学館の担当者が舞台を見学に来ていた。本当は作者である漫画家大須賀めぐみ氏も来場予定だったが、当日急遽別のスケジュールが入りキャンセルとなった。目的は彼女の次作『マチネとソワレ』の取材である。大須賀氏と担当者(小学館の副編集長)は二人でこの舞台の稽古場にも見学に来ている。

 

『スフィンクスの祈り〜セイクリッド・ビーストの終焉と伝説〜』

2018年秋に一日限定公演として上演した作品。2017年末に一度解散して、志のあるものだけ残り、さらにメンバーを募っての最初の公演となる。当初、ショートストーリーに仕上げようと考えていたが、作品を構成していく過程でボリュームを増やさないと中身が無くなりすぎると判断したのと、出演者全員に一度はスポットが当たるようにと配慮した結果、通常の尺のサイズの作品となった。きっかけは、ひょんなことから「夜霧のベルゲン・ベルゼン」を見たTAIJIの元奥様がおひさま冒険団のファンとなり、すでに算命学を学んでいた香取に鑑定をしてもらったことから縁が深まったのが始まりだった。その方も香取同様だいぶぶっ飛んだ性質の持ち主で、「前世は絶対エジプト!」といったことから始まる。代々木サイゼリアで算命学の勉強を香取が彼女に教えていたときに、あとからたまがそこにやってきて一緒に学んでいる中で急にその話が始まった。その時、香取が隣のたまの横顔を見て、「この横顔の形はスフィンクスですよね?(ちょうど前作でちびまる子ちゃんのような髪型をさせたのでその名残がまだあったため)」といったことで大爆笑となり、そのままたまは、スフィンクス役に決まった。また、たまゆり笑のキャラクターが一番早く決まった瞬間である。まだ内容もタイトルも決まってないのに。このことから、スフィンクスを登場させるというところを軸に物語の構成を考え始める。出演者が15名と多いこと、当時、「ジョジョの奇妙な冒険」ファンがやたらといたこと、コスプレイヤーがいたこと、また映画で新しいハリーポッターシリーズ(ファンタスティック・ビースト)の二作目の上演が始まったこと、が重なり、今作品の様なテイストを考え始めた。この物語は、紀元前一万年前のエジプトを舞台に、神の末裔がエジプトの王であり、その過渡期をストーリーにしたものである。イメージ的にはギリシャ神話の半神半人の世代の時期が近い。また、世界の三神の理念なども物語の要素として含まれている。主人公のシェド(人間)がひょんなことからスフィンクス(セイクリッド・ビースト=神しか持つことのできない能力。ジョジョのスタンド能力のようなもの)を味方に付け、王家と冥界の神アペプと戦っていくストーリーとなっている。神と人間は一体である、人間は神の子であるという人類草創の思想が流れている。主人公シェドを五十嵐育也が演じ、ヒロインを光瑠(当時:現在琴宮ひかる)が演じた。余談として、あまりにも観劇したい人数が増えてしまったため、おひさま冒険団初の公開ゲネを行った。客席は通常通りではなく、演出席より後ろで観劇して頂く形式をとったので後方席のみであったが、それでも満席で公演を迎えた。初舞台の役者も多かったため、ぎこちなさはあったものの、いい緊張感で終えられることができた。また、この作品は台本をつくり上げた後にキャスティングを行ったため正確にはあて書きはしていない。ただ、仮設定で書き上げたため結果としてあて書きのようになっている役もある。香取が当初イメージしたキャスティングと一部変更して決定した経緯がある。基本的にはキャストにやりたい役の希望を募り、競合した場合は稽古内容を選考材料にしてキャスティングをした。 『アトランティスZERO』 第五回本公演作品。香取が云うには、「夜霧のベルゼン・ベルゲン」から始まり、「スフィンクスの祈り」「風紀委員満寿久子」「雪駄のシンデレラ」に続き、魂シリーズの集大成のような作品に位置する。人間(地球人の始まり)はどこからなのか?という疑問を今できる範囲で向き合い、火星人説、宇宙人説、二ビル説、ネアンデルタール人クロマニオン人との違和感、意識無意識の世界、量子力学から、エドガーケーシーチャネリングヒーリングユダヤ教キリスト教神道日本書紀などなどから要素を取り入れ、アトランティスの謎から現代人を紐解いてみようということから始まった。人間は愛と光からできていると仮定し、神と同じ体をしていると設定するなど、アメノミナカヌシアダム、などあらゆる要素をてんこ盛りした作品となっている。そのため、役柄によってはやたらと説明セリフが長い。冷戦時代から第三次世界大戦核戦争により地球が破滅するなどアルマゲドン世界終末思想などもなぜ起こっているのかなど、お得意の社会派SFファンタジードラマとなっており、世の中への警鐘を鳴らす意味も持たせている。それと同時に、どうやったら回避できるのか、人間の幸福とは何かにも触れている。なぜアトランティスが滅んだのか。そこから紐解き、今自分たちが受け取るべきメッセージとは何か?が記されている作品である。物語の内容は、主人公のコウがとある理由でタイムスリップし、近未来に住んでいるジユウと出会うところから始まる。ジユウと共に、アトランティスの時代に戻って来たコウは、自分の生い立ちの秘密を調べていく中で、世界戦争へと巻き込まれ、アトランティス滅亡へのきっかけを作ることになる。というストーリー。おそらくこの台本は過去一番出演者が涙したストーリーではないかと思う。人間ドラマがてんこ盛りの物語である。アトランティスが滅ぶ話であるため、登場キャラクターは全員死んでしまうのだが、それでも最後はどこか心が温かくなる構成となっている。主人公のコウを演じたのはたまゆり笑。何気に初めての主役となる。林隼平演じるクレアチオはだいぶ好評を得た。クレアチオのお面は香取の手作りである。この作品はキャストの降板などアクシデントが相次いだ。古代人種、神子のメタを夏鈴(当時:現在は綾羽陽子)が精神的に不安定になり降板され、急遽代役を知花梨花(当時:現在は広畑りか)が演じた。だいぶ時間が無い中見事フォローをしてもらえた。またこの作品の舞台のアトランティス国の女神であるニヒル役を演じた吉野朱音が小屋入り後、腎盂炎になってしまい、場当たりから急遽役を変更、演出助手を担っていた松崎瑠美が見事代役をこなしてくれた。ラスト2日間は吉野の熱が下がったため本役で上演することができた。綱渡り的に閉幕できた公演であった。また、アトランティスの物語をやると決まった時に、中野区商店街連合会会長高橋宏治氏から、「香取さん、あのね、実は僕はアトランティスに昔、住んでたんだよ」と話しかけられ、今度忘年会で話すからとその話題を一時間ほど教授してもらった経緯がある。とても参考になりその要素もこの作品の中に少し入っている。余談として、ちょうどこのころ、新型コロナが流行しはじめたころで、社会からトイレットペーパーアルコール消毒液液体せっけんが姿を消した時期であった。スタジオあくとれのトイレットペーパーも底を突きそうであったためおひさま冒険団が寄付をした。おひさま冒険団の公演ではなかったが、同時期に別の劇場で行われた公演では、マスクをつけろつけないで客席でお客同士が殴り合いの喧嘩があったり、いわゆるマスク警察というのが中野界隈にも多発し、劇場のまわりにうようよ存在していた。実際、「マスクしろ!マスク!」と、劇場の外でおおごえをあげて指を示唆して怒鳴っている年配の女性もいた。この公演の後の時期から、いわゆる演劇は上演中止する劇団が増え、演劇界は一気に冷え込んでしまった。また、アトランティスZERO公演のチケットの売れ行きは上々であったのだが、チケット販売開始後にコロナ騒動が大きくなったため、キャンセルが相次いだ。劇団としても社会情勢を鑑みて「観に来てください!」というような告知や宣伝はしないように方針を切り替えた。それ以降、翌年の公演も、「観に来てください!」と謳うことはしていない(2022年春現在)。キャストの降板や急病、コロナ禍の始まりでもあり、本当に上演できるかどうか最後まで分からない公演となったが、不思議と絶対に最後までやりきれると信じられた舞台でもあった。想定よりも多くのお客様に届けることはできなかった作品ではあるが、メッセージ性としてはかなり精神論に偏ったものであるため、求めている人には好評であった。

『真・アラビアンナイト』

『幸せの青い鳥』

 

 

3.2 現代物

『風紀委員満寿久子〜伝説のバレンタインデー~』

第四回目本公演作品。この作品は香取の夢の中で、当時団長だった吉良竜矢が一生懸命紹介しようとした女子高生の名前が「満寿久子」だったことから、この架空の人物を登場させた舞台を作ってみようというところから始まった。定例のおひさま向上委員会で、企画会議を練り、ちょっと未来が見える女の子という設定に決まった。また、本来第四回目の本公演で創作されるはずだった「烈風教室(小学校を舞台にイジメ問題合唱で解決していくという物語の予定だった)」で登場するキャラクター、宇多珠美(小学生時代はいじめられっ子の設定)も登場させようということになり、満寿久子と宇多珠美の二人のキャラクターは早々に決定となった。宇多珠美は名前からも想像できるように、たまゆり笑が演じる予定であったため、そのままたまゆり笑のキャラクターがまたも早々と決まることになった。主人公がちょっと先の未来が見える設定となったため、その周りを囲むキャラクターを五感でそろえようということになり、ストーリーが進んでいくうちに仲間になっていくメンバーは全て五感のどこかを司っている設定となっている。久しぶりの学園ものを製作していくにあたり、舞台をどうしようかと悩んだ末、ちょうど季節的にバレンタインデーがかぶるため、校則の厳しい学校でどうやって意中の男子にチョコレートを渡すか?という筋書きをバカバカしく壮大に描いてみることを決め、そこからキャラクターと構成を考えて行った。この物語のバックボーンには「トマスの福音書」が流れている。この物語のダークヒーロー的な敵役の守護聖人はバレンタインにちなんで名づけられている。また、トマスの福音書に対抗して守護聖人の信条は某新興宗教団体の理念と算命学を洗脳ビジネスに使っている某団体の口説き文句を合わせて作られている。即ち、こうして人は洗脳されていくのだという手法を使っている。物語の内容は校則が厳しいといいつつも、バレンタインは思春期の学生たちの一大イベント。その大イベントをどうやって成就させていくのか?悪だくみを考えるちょっとやんちゃな四人組生徒と純粋にチョコレートを渡そうとする生徒、傍観する生徒に乱れる風紀を取り締まる生徒たちが入り乱れ、ひとつのチョコをめぐって一大スペクタクルが展開するストーリーとなっている。演出構成としてはかなりバカバカしく派手に音楽を使ったり動きをつけたりしているので、ライブ感のある盛り上がる作品でもあった。最前列で観劇したお客さまからは、役者の汗が飛び散り浴びるほどの熱気を感じて興奮した。という感想ももらっている。この作品をきっかけにおひさま冒険団ファンになった人も多い。ただ、ここで飛び散る汗を浴びたお客様はそれ以降最前列で見ることは止めているというオチ付きである。主人公でありヒロインの満寿久子を太田朱香が演じている。余談として、つくり上げたはいいがこれはかなりの批判が出るかなと上演前に覚悟していた香取だが、思いの外評判が良く、初めておひさま冒険団を観劇したお客さまからは、わざわざ香取を見つけ出しては感想を伝えていくお客さまも数多くいた。出演者数は過去最高の16名となっている(2022年春現在)。なお、出演はしていないが、満寿久子のライバルであり仲間でもある、観音寺玲音の姉の設定として、漫画家としてデビューしている永塚未知流も登場している。ただ、集客率は非常に悪かった。過去最低レベルである(2022年春現在)。

 

『ハンカチ落としましたよ。』

第六回本公演作品。コロナ禍の中で創り上げた作品。新型コロナウイルス (COVID-19) の影響で、路上に落ちているゴミを拾うことですらままならない時期を過ごしていて、またいつか、普通に親切心で落とし物を拾えるような社会に戻ってほしいなという想いから、「ハンカチ、落としましたよ。」という言葉をそのままタイトルにして、作品を創作した。なのでこの作品はタイトルが先に決まって中身は全く決まっていなかった。最初にエンディングのセリフとイメージ画だけ決め、オープニングからストーリー展開はどうしようかかなり悩んで作られた作品でもある。香取がふと、絵本の世界を取り入れてみようと閃いたので、ある程度ピックアップした絵本を何冊も熟読して、そこからヒントを得て作られている。また所々に作者の体験談も入っている。作品の内容は、幼少期の体験から自分を殺して生きて行くことが普通になってしまった犀川早智子が、無意識の領域で今の自分を何とかしたいと思いはじめ、心の叫びと過去のトラウマとの葛藤を乗り越え、人生に希望の光が差し込んでいくというストーリーになっている。劇中でスカーフを巻くシーンがあるのだが、その間を埋めるためにアドリブで生み出されたサイダンスが好評でそのまま採用になった経緯がある。また、代表たまゆり笑となってからの初の本公演でもある。主人公はヒロインも兼ねた吉椿涼花(旧:本間涼花)。たまゆり笑は、犬塚たま役を演じた。余談として、この公演は新人も多かったことから、劇場で稽古も兼ねたワークショップ公演という意味も含めた舞台となってる。有観客は最終日に一度だけ。前日は本番を2回行い、両方3日目で撮影し編集して後日YouTube動画にて無料配信している。稽古参加率は過去最低レベルで仕上がりもかなり悪い作品となったが、小屋入り中盤で持ち直し何とか上演できるレベルへ持っていった。作品の内容がカウンセリングの要素もあり、演者の等身大のストーリー展開にしてあるので、初めて見たお客さまから非常に感動したという声をもらっている。

『Jomon Wisdom』

 

3.3 朗読劇

おりぃ部

<『はじまりのはじまり』『オリーブ飯対決』『選挙に行こう!』『オリーブde十五夜!?』『OL大収穫祭!!』『アワ長者!?』『ひる!あん!どーん!』『オリーブ20(トゥエンティー)』『豆で鬼退治!桃☆太郎』『春満開☆笑顔で防犯!』『花咲じいさんだワン!』『菖蒲で勝負!』『伝説の養老の滝』『はっぴぃ一寸法師』『アブラカタブラ!わらしべ長者』『行ってこい!おいてけ堀』『キツネの恩返し』『しょ、しょ、証城寺』『宝物、笠地蔵』>

ナカノバ食堂で定期的に朗読劇ライブを行ったときの作品。第二話から、イケメン料理対決というイベントも加わり、お客様にライブ感覚で楽しんでもらう要素を取り入れた。なお、食堂でのイベントなため、観客は食事を注文して食べながらの鑑賞という形式をとっている。料理対決は試食をつくり、ナカノバ食堂にいるすべての人に試食して頂き投票券を投票箱に入れてもらい公正な形でその場で決定した。基本的に吉良竜矢VS立花聡一朗の対決。株式会社エフ・スタッフルーム(おこのみっくす刊行)が行っていた、福島県いわき市でのオリーブ菜園にちなんで始めたことから、オリーブ料理を機軸に作っている。また料理対決を必ず盛り込んでいるため、食卓や食育についても触れている。途中香取がネタ切れもあったので昔話を取り入れた形式をとっている。構成の内容は、基本的にナカノバ娘(宮武真優・愛河美帆・豊川未智・たまゆり笑)が主軸で、昔話の枠はその都度主人公を変えて作成している。

 

『長曾根虎徹 辻芝居』

講談師・神田山緑とエフ・スタッフルームの提案で企画された、ナカノバ食堂での講談と演劇のコラボ作品。山緑氏の講談の後に、その内容に沿ってプチ芝居を吉良竜矢・五十嵐育也・豊川未智・林隼平が演じた。作品の内容は、講談「長曽祢虎徹(ながそねこてつ)」の一節で、「金沢に過ぎたるものが二つあり刀正次(まさつぐ)兜興里(おきさと)」。では実際試してみようということで、お殿様の前で実演する。鎧が勝つか、刀が勝つか、その人間模様に涙をそそる。というような感じ。神田山緑氏の講談は圧巻だった。

 

『天橋立』

2017年、つながる中野の望念会で披露された朗読劇。解散すると分かって演じているため、ボルテージは低かった。なお、このタイミングでおひさま冒険団を離れたのは解散のきっかけを作った宮武真優のみである。作品の内容は昔話の天橋立と、もののけ姫を掛け合わした内容で忘年会らしくバカバカしく楽しく仕上げている。また、この作品とは別に、本来上演するはずだった本公演、「烈風教室」のネタの一つのダンス、オースティン・マホーンの『Dirty Work』を、たまゆり笑・奥山貴章・立花聡一朗で披露している。

 

『花咲か爺さん』

2020年秋、東中野区民活動センターに隣接している、おかのうえ公園の「アートウィーク」というお祭りで披露した。その模様はYouTube動画でも披露している。小さいお子様を相手に初お披露目した昔話お芝居。野外で行ったのも初体験だった。

 

4 在籍メンバー 

たまゆり笑〈代表〉

五十嵐育也

津村悠介

関谷百笑

赤橙白黄

綾羽陽子

細田恵輔(休団)

清瀬水鈴

山本崇斗(休団)

杜寺部白明(休団)

遠藤恵(休団)

中村梨紗(仮入団)

菅谷翔太

立花聡一朗〈アドバイザー〉

四泉芙燈〈GM兼作・演出〉

 

 

5 以前在籍していた主な俳優

伊藤紗代・船川桃花・後藤有紀子・坂口明世・坂東真輝・柴田麻耶・古屋慎吾・田原翼・香川顕児・森光太・梅原莉那・北口壘年・青木竜也・一ノ瀬優生・植田悠加・宮武真優・間宮詢・鈴木泰雅・三輪祐介・奥山貴章・田井文乃・光瑠(琴宮ひかる)・藤原りょう・赤壁礼子・矢野瑞季・永塚未知流・豊川未智・本郷悠・長嶺福太郎・永田航太郎・玖賀遥香・今井菜摘・赤池希実子・太田朱香・大畑美穂・吉良竜矢・愛河美帆・たかしままこ・冬川真衣・吉椿涼花(本間涼花)・山本洋輔・松田雄陽・青島稜都・林隼平・碧之マリナ(豊田莉菜)

 

 

 

6 過去の公演

 基本的に、「スタジオあくとれ」にて上演している。

 

6.1 本公演

『彩誘記』 1回目本公演 '15.02(中野スタジオあくとれ)

『真田十勇志』 2回目本公演 '16.02(中野スタジオあくとれ)

『夜霧のベルゲン・ベルゼン~ふたりのアンネ~』 3回目本公演 '17.02(中野スタジオあくとれ)

『風紀委員満寿久子〜伝説のバレンタインデー~』 4回目本公演 '19.02(中野スタジオあくとれ)

『アトランティスZERO』 5回目本公演 '20.03(中野スタジオあくとれ)

『ハンカチ落としましたよ。』 6回目本公演 '21.11(中野スタジオあくとれ)

『真・アラビアンナイト』 7回目本公演 '22.09(中野スタジオあくとれ)

 

6.2 番外公演

『長曾根虎徹 辻芝居』 おひさま冒険団〈神田山緑コラボ芝居〉 '17.05(ナカノバ食堂)

『スフィンクスの祈り〜セイクリッド・ビーストの終焉と伝説〜』 劇団おひさま冒険団復活公演 '18.09(中野スタジオあくとれ)

『雪駄のシンデレラ』 劇団おひさま冒険団プチ公演 '19.09(中野スタジオあくとれ)

『花咲か爺さん』 劇団おひさま冒険団 野外公演 '20.11(おかのうえ公園 アートウィーク)

『おおかむづみ~イザナギとイザナミと黄泉の国~』 劇団おひさま冒険団 日本の昔ばなし公演 '21.04(中野スタジオあくとれ)

『鬼を以て鑑と為す』 劇団おひさま冒険団 日本の昔ばなし公演 '21.04(中野スタジオあくとれ)

『浦島太郎』 劇団おひさま冒険団 日本の昔ばなし公演 '21.04(中野スタジオあくとれ)

『幸せの青い鳥あくとれ版』 劇団おひさま冒険団一日限定公演 '23.03(中野スタジオあくとれ)

『Jomon Wisdom』 劇団おひさま冒険団十周年記念第一弾。一日限定公演 '23.12(中野スタジオあくとれ)

 

6.3 朗読劇

『メモリー、そして明日へ…』 第6回なかのZEROアート展"人間復興"朗読劇(なかのZERO)

『はじまりのはじまり』 おりぃ部第1話 '16.05(ナカノバ食堂)

『オリーブ飯対決』 おりぃ部第2話 '16.06(ナカノバ食堂)

『選挙に行こう!』 おりぃ部第3話 '16.07(ナカノバ食堂)

『オリーブde十五夜!?』 おりぃ部第4話 '16.09(ナカノバ食堂)

『OL大収穫祭!!』 おりぃ部第5話 '16.10(ナカノバ食堂)

『アワ長者!?』 おりぃ部第6話 '16.11(ナカノバ食堂)

『ひる!あん!どーん!』 おりぃ部第7話 '16.12(ナカノバ食堂)

『オリーブ20(トゥエンティー)』 おりぃ部第8話 '17.01(ナカノバ食堂)

『豆で鬼退治!桃☆太郎』 おりぃ部第9話 '17.02(ナカノバ食堂)

『春満開☆笑顔で防犯!』 おりぃ部第10話 '17.03(ナカノバ食堂)

『花咲じいさんだワン!』 おりぃ部第11話 '17.04(ナカノバ食堂)

『菖蒲で勝負!』 おりぃ部第12話 '17.05(ナカノバ食堂)

『伝説の養老の滝』 おりぃ部第13話 '17.06(ナカノバ食堂)

『はっぴぃ一寸法師』 おりぃ部第14話 '17.07(ナカノバ食堂)

『アブラカタブラ!わらしべ長者』 おりぃ部第15話 '17.08(ナカノバ食堂)

『行ってこい!おいてけ堀』 おりぃ部第16話 '17.09(ナカノバ食堂)

『キツネの恩返し』 おりぃ部第17話 '17.10(ナカノバ食堂)

『しょ、しょ、証城寺』 おりぃ部第18話 '17.11(ナカノバ食堂)

『宝物、笠地蔵』 おりぃ部第19話 '17.12(ナカノバ食堂)

『天橋立』 つながる中野望念会作品(おひさま冒険団一時解散発表会) '17.12(ナカノバ食堂) 

 

6.4 おひさまプロデュース

『許してワラレル•ワールド』 天道虫1回目公演、作:矢野瑞季 '14.09(中野スタジオあくとれ)

『ネムリノヒメ』 天道虫2回目公演、作:矢野瑞季 '15.09(中野スタジオあくとれ)

『魔王juvenileremix』 天道虫3回目公演 原案:伊坂幸太郎・大須賀めぐみ、脚色:矢野瑞季 '16.09(中野スタジオあくとれ)

『シネンシス・ブレス』 虹色わたあめ 主宰、久石舞子 '19.08(中野スタジオあくとれ)

『陽の音色』 なかのZEROライブフェスティバル出演作品 作・演出:五十嵐育也 '19.12(なかのZERO)

『在りし日に咲く』 アートにエールを出品作品 監督:五十嵐育也、脚本・演出:関谷百笑、イラストデザイン:夏鈴(現:綾羽陽子)、プロデューサー:立花聡一朗 '20.08

『青写真と今』 アートにエールを出品作品 監督・脚本:五十嵐育也、編集:関谷百笑、プロデューサー:立花聡一朗 '20.10

『陽の音色』 なかのZEROライブフェスティバル出演作品 作・演出:五十嵐育也 '20.11(なかのZERO)

『おひさま通信』 2017年1月スタート。現在も製作中。

『ドナルド松山の大人のビジネス学習塾(仮)』2012年スタート。計28回。プラス2回。2016年10月終了。

『Mチャンネル』2013年12月31日スタート。計8回。番外編プラス3編。2014年8月終了。

『さくらへのお礼肥え』 中野通りの桜の樹木への肥料を施す。 2022年度より主催者として八八会より引き継ぐ。〈中野通り・新青梅街道〉

『アラビアンナイトー史上最高の恋人』短編映画(脚本・演出・監督) 劇団おひさま冒険団「渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保」エントリー作品 '22.09 

『幸せの青い鳥』なかのZEROライブフェスティバル出演作品作・演出香取大介'22.12(なかのZERO)

 

7 出演番組・雑誌

J:COMチャンネル

「東京生テレビ」【160416号】オリーブの祭典in中野

地元応援!つながるNEWS インタビューたまゆり笑

おこのみっくすマガジン(エフ・スタッフルーム) 多数

おためしっくす(エフ・スタッフルーム)

ヒガナカTV

・海鮮・かき・沖縄料理 『わ』 居酒屋、沖縄料理、魚介料理・海鮮料理(東中野) 2021/06/03 配信

・ロシア料理 【コ.トゥ.タモ.ペヴァ (KO.TO.TAMO.PEVA)】(東中野) 2021/06/22 配信 

 

8 参加ボランティア・イベント

・ちびっ子オセロ大会(新しい自治を作るワークショップ)会場

:哲学堂公園弓道場・さくらのお礼肥え(八ハ会)中野駅から北上、中野通り沿い

・大震災に備えるフォーラムin中野(耐震フォーラム)会場:中野区役所

・川島商店街夜店市(中野区弥生町)

・薬師の大番30周年パーティー(新井薬師駅前:薬師の大番ラーメン)

・起創展街中野にぎわいフェスタ(中野区環境協会)

・特定非営利活動法人ボランティア労力ネットワーク食事会(東中野支部)

・絵画展のお手伝い(アートハウスT小野寿巳)

・おかのうえの夕涼み(ヒガナカプロジェクト)会場:東中野区民センター隣、おかのうえ公園

・なかのエコフェア(中野区)会場:中野式の森公園イベントエリア

・哲学堂特別講座(新しい自治を作るワークショップ)会場:哲学堂公園宇宙館

・大和町クリスマス会(中野区大和町区民活動センター)

・東京都食育フェア(いのちと健康なかのJAPAN)会場:代々木公園

・東京行灯祭(川島商店街・中野区弥生町)

・オリーブ収穫祭(福島県いわき市)

・キュラーズ宝物展(エフ・スタッフルーム、おこのみっくす)弥生町店

・野方店・中野区東部祭り(東部区民活動センター)うさごはんとアテンダーとして活躍。

・育フェス(なかのZERO)うさごはんとアテンダーとして活躍。

・とおりゃんせ あらい(新井薬師駅前商店街など5商店街)会場:新井薬師梅照院ほか

・中野プレミアム縁日(中野区商店街連合会)

・中野区商店街振興組合連合会)会場:中野サンプラザ前広場

・新井薬師梅照院お餅つき大会(梅照院)会場:新井薬師梅照院

 

 

 

9 外部リンク

おひさま冒険団ホームページ

Instagram

Twitter

YouTube

Facebook

ヒガナカTV